大都市圏を中心に増える極小アパート

アメリカも、最近では都市部を中心に家賃が高騰しており、高い収入を得ていても、家賃に収入の半分以上を払っている人も多いです。

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交通事情の心配から、郊外ではなく、オフィスに近い便利な立地に住みたい人も急増中。例えば、ニューヨークの地下鉄はとくに時刻表などはなく、朝や夕方などのラッシュ時にはよく停止したり、遅延が起こったりするので、時間通りにオフィスにたどり着くのが難しいときもあるからです。そこで増えてきたのが、都会のど真ん中で日本のような極小ワンルームアパートに住み、時間のロスをなくす方法です。

マンハッタンの家賃は高騰していますから、ワンベットルームの部屋を借りるためには、安くても2500ドルから3000ドル程度の家賃は覚悟しないといけません。ワンルームでも1800ドルくらいはします。けれども、それほどの家賃の払える人は、そんなに多くありません。生活費や給料から引かれるフェデラル、ステート、シティタックスや健康保険料、FICAと呼ばれるソーシャルセキュリティタックス、メディケアタックスなどを差し引いて、だいたい年収60K、月の収入が、5000ドル程度ある人でも結構な負担となるからです。

そのため、アップタウンやハーレムのほうで安いアパートを探して住んだり、またはごく狭いスペースのワンベッドルームで、スペースコンシャスな暮らしをしている人が増えてきました。

この傾向は、他のアメリカの大都市、サンフランシスコ、シアトル、ボストンなどでも同様に起こっているようです。

ニューヨークも日本の大都市圏と一緒で、かなり独身者が増えているのも、ワンルームや極小アパートメントに人気が集まる理由かもしれません。狭いスペースを素敵に、また頭を使って色々な用途に使うアイディア、例えば折りたたみ式のベッドやスライド式で動く棚なども考えられ、住みやすい工夫がされています。

マイクロアパートメントの人気

ニューヨーク州では、1987年以降、一棟400スクエアフィート以下のアパートを建てることは法律で禁止されていました。しかしながら、最近ではこの「マイクロアパートメント」と呼ばれる物件の人気の上昇で、その法律を変更することを視野に入れつつ、小さな組み立て式(プレハブ)のアパートを試験的に導入するデベロッパーが増えてきたのです。

アメリカでも、郊外の広い庭付きの広い家で、家族と住む、というスタイルはすでに一昔前のスタイルなのかもしれません。現在、アメリカでは人口の約3割が単身者であるといいます。ニューヨークに限ると5割にもなるといいます。でも、そうした独身者の生活に合った小さめアパートメント自体は少ない。また、年金生活者など、高い家賃が払えない人も多い。つまり単身者にとって都合の良い住まいが、このマイクロアパートメントなのでしょう。

ちなみに広さは、270から370スクエアフィートくらいで、日本でいうと15畳から22畳くらいのスペースです。家賃も2000ドル前後からあるそうで、マンハッタン内では格安となりそうです。もっと極小物件ですと、1000ドルの家賃の物件もあるようです。

確かに自宅は狭いけれど、必要なものはすべて身近に、手の届くところにあり、通勤や買い物なども徒歩や自転車などで楽々です。都市に住む便利さを享受しつつ、自分の快適な暮らしを最低限の家賃で楽しむ。とても合理的です。

これからは、単身者がもっと増えて行く事でしょうし、投資家としても、こうしたマイクロアパートメントを持つことを考えてもいいのではないでしょうか。

いままで海外で若い世代を中心に行われてきた、ルームシェア、つまりシェアハウスが日本でも浸透してきました。しかし海外ではルームシェアを経験し、様々なトラブルや面倒を経験し、やっぱり個人でのんびりできる、またプライバシーも完全に確保できる、「小さいけれども安らぐ我が家」を求める人が増えているのかもしれません。

若い世代ならまだしも、既にある程度、人格や生活スタイルが決まっている大人が他の人と家の設備をシェアするのは簡単なことではありません。

結婚してもその後離婚する人、または高齢者ですとすでに配偶者を亡くしている人も多いですし、最近は「おひとりさまのすすめ」のような本も出版されたりして、おひとりさまの生活スタイルや文化は、アメリカでも確実に浸透しつつあるのです。

ニューヨークでは、最近片付けのプロを雇ったり、住まいスペースを快適にするための専門家を呼んで相談したりと、住環境や、いま持っている環境のなかで、より快適に暮らす方法を模索している人が増えています。

昔は、すこしでも住環境が気に入らないと、引っ越したり、他の物件を検討したりしていました。しかし、最近の賃貸料の高騰から、なかなかいまより良い物件が見つからない、または見つかっても、今以上の家賃を払いたくない人がほとんどです。

どんどん働いて、お金を稼いで、仕事で昇進して、広い家に住んで、豊かな暮らしをする、そういった典型的なライフスタイル自体がだんだん変わってきていることを、肌で感じる不動産事情。「ミニマムな暮らし」への提言は、これからの人々の「身の丈にあった自然体の暮らし」への契機になることでしょう。